米マクドナルドは日本マクドナルドHDの一部株式を売却する方針

28日、米ファストフード大手のマクドナルドは保有する日本マクドナルドホールディングスの株式の一部を売却する方針を明らかにしました。

 

これはケビン・オザン最高財務責任者(CFO)が2020年4~6月期決算に関する電話会見で明らかになったもので、保有比率を現在の約50%から35%程度まで引き下げるとしています。

日本マクドナルドホールディングスの株式を売る経緯

日本マクドナルドホールディングスの株式を売る経緯
オザン氏は「過去数年間の日本マクドナルドの好調な業績と、経営陣に対する信頼に基づき、持ち分を徐々に減らしていくべき時期に来ている」と述べ、一方「少なくとも35%の保有を維持する。今回の決定は日本事業への関与を示すものだ」と語利ました。

 

しかし、株式の取引高が低いため、持ち分を手放すまでに時間がかかるかもしれないという見方も示しました。

 

マクドナルドの日本の店舗数は約2900店で、米国や中国に次いで3番目です。アメリカとは日本の総売上高の3%を経営指導料として受け取る契約を結んでおり、経営幹部も派遣しています。

 

日本株式の売却は2015~16年にも検討していましたが、当時は経営不振に陥っていました。日本マクドナルドは2014年に鶏肉偽装問題などを受け、2015年12月期まで2期連続で最終赤字に陥っていました。2016年からは業績がV字回復し、コロナ禍の今年6月には上場来高値を更新している好調ぶりです。

 

しかし、今回は新型コロナウイルス感染拡大の中でも好調な日本法人の株式を売却することによって資金を調達し、苦戦している他の地域の立て直しを進める方針の様です。

世界でのマクドナルドの業績悪化が原因

世界でのマクドナルドの業績悪化が原因
米マクドナルドは日本マクドナルドホールディングスの一部株式売却の他にも、アメリカでは店舗閉鎖を加速させ年内に200店舗前後を閉じる方針を明らかにし、リストラを始めています。それはかつてないほどの売上高が急激に落ちたのが原因の様です。

 

28日に発表された米マクドナルドの2020年4~6月期決算は、新型コロナウイルスの感染拡大で営業が制限されたことなどから、売上高は前年同期比30%減の37・6億ドル(約4000億円)、純利益は前年同期比68%減の4億8300万ドル(約510億円)と大幅な売上減となりました。特にスペインや英国、フランスなども含む海外市場は、41.4%減と大きく落ち込んでいることもわかりました。

 

新型コロナウイルス感染のパンデミックにはドライブスルーや宅配で対応して営業を続けていましたが、消費者がコロナウイルス予防のために慎重になっていたことで利用が減り悪影響を受けました。

 

米マクドナルドは第2四半期を通じて、米国内と比較して海外は低調だと説明していました。米国の既存店売上高は6月に2.3%減にとどまり、新型コロナウイルスの影響前の水準までにおおよそ回復しています。

 

しかし、市場では失望が広がった可能性があると、6月のアメリカ既存店売上高は、前年同期とほぼ変わらない水準になると予想していたRBCキャピタル・マーケッツのアナリスト、クリストファー・キャリル氏は指摘しました。

 

マクドナルドではドライブスルーや持ち帰りのサービスとい強みがあったため、米国内売上高は対人接客がどうしても必要になってしまうレストランよりは良いものです。

 

注文用のタッチスクリーン設置などデジタル化も進めているのでこういした取り組みが功を奏したのでしょう。

日本マクドナルドの経営体制の歴史

日本マクドナルドの経営体制の歴史
日本マクドナルドは1971年に故・藤田田がアメリカよりフランチャイズ権を獲得し、彼の経営する藤田商店と米マクドナルドが折半出資で設立された会社です。

 

第1号店は銀座三越店内に構えた銀座店で、2号店には東京都渋谷区の代々木店を開店させます。米マクドナルドからはアメリカ同様に郊外型の店舗を展開する様な指示があったそうですが藤田の「都会で話題とする」という戦略が成功していきます。

 

その後、拡大を続ける日本マクドナルドですが2002年平成不況により赤字に転落、不採算店舗の閉鎖をこの時期初めて実施する様になります。この経営収支をって直すために、「平日半額キャンペーン」を行いますがブランドイメージが大きく損なわれてしまい、藤田は責任を取り引退します。

 

その後日本マクドナルドは米国マクドナルドの直轄体制となり、現在に至ります。