グッチ、サンローランなどの有名ブランドを所有するフランス高級ブランドグループ「ケリング」は三人が新たに取締役会のメンバーとなると発表しました。
そのメンバーとは金融大手「Credit Suisse(クレディ・スイス)」の元CEOであるTidjane Thiam(ティジャン・ティアム)、起業家のJean Liu(ジャン・リュー)、女優のEmma Watson(エマワトソン)です。
世界的に知名度の高いエマワトソンさんが起用されたこの采配が世界的に話題となっています。
ケリングはフランス・パリを本拠地としており、主にファッション、宝飾品関連のブランドを保有している会社です。世界的にはルイヴィトンなどを持っているLVMHやリシュモンと並んでファッション業界大手企業の一つとされています。
フランスの流通大手企業体「ピノー・プランタン・ルドゥート」(Pinault-Printemps-Redoute : PPR)の組織改編・商号変更により2013年に設立された会社です。
以下のブランドが保有企業の一部です。
上記のように有名ブランドを数多く所有しており、ここ数年日本国内でも流行っているブランド「グッチ」「バレンシアガ」もケリングの所有企業です。
会長兼最高経営責任者であるフランソワ・アンリ・ピノー(Francois Henri Pinault)は「同3名を取締役会に迎え入れることを非常にうれしく思う。彼らの知見や能力、さまざまなバックグラウンドや視点はケリングの将来にとって不可欠であり貴重な付加価値となる」とコメントしています。
そんなメンバーを一人一人チェックしてみましょう。
ジーン・リウ(Jean Liu)は1978年生まれで北京大学で学士号を、ハーバード大学で修士号を取得しています。2014年から中国版の配車アプリ、滴滴出行の社長を務めます。
テクノロジーやシェアリングエコノミーの分野における女性のエンパワーメントも推進しており、その一環として中国のインターネット分野では初となる女性を対象とした人材開発プログラムをスタートさせました。
また、ブルームバーグが開催するニューエコノミー・フォーラムの諮問委員会のメンバーとして設立当初から関わっているほか、アジア・ソサエティの評議員を務めるかなりの実力者です。
ティージャン・ティアム(Tidjane Thiam)は1962年生まれでエコール・ポリテクニークとパリ国立高等鉱業学校を卒業し、ウォーリック大学の名誉法学学士号を取得しています。
1994年から1999年までは祖国のコートジボワール共和国で閣僚や国立技術研究開発公社のCEO、世界銀行のコートジボワール代表を務めた輝かしい経歴を持っています。
直近ではスイスの銀行大手クレディ・スイス(CREDIT SUISSE)のCEOを務め、今年4月には南アフリカ共和国の新型コロナウイルス対策におけるアフリカ連合特使を任命されるなど常に大きなプロジェクトを任される人物です。
エマ・ワトソン(Emma Watson)は90年生まれで、子供時代に「ハリーポッター」シリーズのハーマイオニー役を演じて一躍有名になり、近年では「美女と野獣」、「ブリングリング」などにも出演し世界で最も人気のある俳優として知られています。
その一方で、女性の地位向上やジェンダー平等に取り組む活動家としての顔も持っています。
2014年5月にブラウン大学で英文学の学位を取得し、同年にUN WOMEN親親善大使に任命されると、男女平等の推進に男性を巻き込むことを目指したイニシアチブ「HeForShe」をローンチ」を立ち上げました。
そのほか、ファッション業界におけるサステナビリティ推進にも取り組んでおり、アパレルブランドのエシカル度を測るオーストラリアの慈善団体のアプリ「グッド・オン・ユー(Good On You)」のサポーターを務めるほか、18年にはオーストラリア版「ヴォーグ(VOGUE)」のゲストエディターとしてサステナビリティに関する特集を手がけるなど多方面での活動をされています。
ケリングは非常に優秀な三人の加入でますます大きな会社へと成長していくのでしょうか。アパレル業界は新型コロナウイルスの影響を受けているとのことなので今後の展開に期待です。
また、日本ではあまり知られていないエマワトソンの活動家としての一面がこのニュースで大きく知れ渡りより支持される俳優、活動家となっていくでしょう。