首都圏や近畿圏などで緊急事態宣言が発出される中、今年も大学受験シーズンが始まりました。新型コロナウイルスの感染状況によっては直前に入試方法が変更となるケースも報道されています。
また、1月16、17日に大学入学共通テストが初めて実施され、受験生にとっては不安ばかりの一年で、腰を据えて勉強ができなかったという受験生も多いのではないでしょうか。
そしてコロナの影響で東京を始めとする大都市圏の私立大学では定員厳格化により合格者が減ったことで入試が難化し、受験生の安全志向が高まっていました。
文部科学省が2020年12月25日に発表した「令和2年度学校基本調査」によると、コロナの影響を受ける前の2020年度に東京都にある大学に入学した学生は15万1714人で、全国の大学入学者のうち約24%を占めてダントツの全国1位です。
東京都には東京大学や一橋大学・東京工業大学といった国公立を筆頭に、知名度も高く・就職に強いと言われている有名私立大学もたくさんあります。全国から若者が上京し、さまざまな文化に触れるキャンパスライフを送ることができるというのが東京での大学生活を思い浮かべるでしょう。
しかし、実際には東京にある大学への進学者のうち東京都の高校出身者は3人に1人(34%)を占めており、地方出身者がとりわけ多いわけではないのです。
また東京近隣の神奈川県、埼玉県、千葉県3県の高校出身者も加えると比率は69%となっており、過半数は首都圏の高校生が東京の大学に進学していることが明らかになりました。
これに加えてコロナの影響で東京の大学に進学して一人暮らしをしても、家賃が追加でかかってしまう上にオンラインでの授業だとしたら、そこまでして東京の大学に行く価値があるのかという点も問題になるでしょう。
コロナ禍による感染の不安もあり、東京の大学を目指す受験生が減り、地方の子どもが上京せずに地元に残ることが考えられ、東京含めて全国的にローカル化してしまいかねません。
すでに首都圏の高校生ばかりが進学していますから、このままでは大学の多様性が失われてしまう事態になってしまいます。コロナ禍が収まった後の大学の運営がどのようになるのかによって大きく大学というものの価値が変わってくるのかもしれません。
理高文低の傾向は、コロナ禍における大手企業の業績悪化、リストラの加速、コロナ解雇の急増などによってさらに加速してくと見られています。
コロナ禍の直撃を受けた航空・観光関連をはじめ多くの人気企業が、大学生の就職人気ランキングで順位を大きく落としていることからも分かるように、将来のことを考えて理系を選択する学生が多いようです。
具体的に文系では、公務員試験に強い法学部系、理系ではICT関連の人気が高まっています。テレワークの推進や地方のICTインフラ拡充の動き、AI導入の拡大などで、電子工学や情報工学の分野が人気です。
そうした中、就職の面倒見がいい工科系大学に志願者が多く流れる可能性も高いです。逆に経済・経営、社会科学系はコロナ不況が続くとの見通しから人気は低下しています。
現在大学に在学している生徒もなかなか学校に行くことができず、オンラインでの授業が増えているようで、年間百数十万円の授業料・施設設備費を納入しながら、キャンパス生活を満足に送れないとなれば不安が募る一方です。
コロナの影響で大学という人生においての大きな選択肢にまで影響が及んでいるのは恐ろしい状況です。一刻も早く、このコロナ禍から抜け出して自分の思う道を進める時代になって欲しいです。