日本企業の組織編成は現在の世の中にマッチしているのでしょうか。例えば、どれだけ一流の高級食材を集めたとしても作るのが料理経験がほとんどない人が作ってしまっては台無しになってしまいますよね。
それと同じでどれだけ素晴らしい人材を集めていたとしても組織としてうまく成り立っていないと大した成果をあげることはできません。
日本企業の従業員エンゲージメント率が世界と比較してもかなり低いということがわかっています。そこで、なぜ日本企業はエンゲージメントが低いのか見ていきましょう。
第一に従業員エンゲージメントとはなんでしょうか。それは従業員が企業に対する愛着に近いもので、従業員がどれほど企業に貢献したいと思っているか、信用しているかを表したものになっています。
簡単にいってしまうと会社と従業員の間の絆のようなものです。
従業員エンゲージメントが高くなることで企業に対して貢献したい、努力したいと思える従業員が多いということです。そうすれば自ずと企業にとって良い影響が生まれるというのがわかりますよね。
従業員と会社が共に成長していくという点で、今多くの企業が「従業員エンゲージメント」を高める為に様々な取り組みを積極的に行なっています。
まずは、アメリカ最大の調査会社で世論調査や人材コンサルティングを手掛けている「ギャラップ社」が実施している「エンゲージメント・サーベイ」による数字を見てみましょう。
こちらの調査は全世界で約1300万人のビジネスマンを対象に調査し、エンゲージメントを図る為に導き出した12の質問「Q12」を投げかけています。
Q1:職場で自分が何を期待されているのかを知っている
Q2:仕事をうまく行うために必要な材料や道具を与えられている
Q3:職場で最も得意なことをする機会を毎日与えられている
Q4:この7日間のうちに、よい仕事をしたと認められたり、褒められたりした
Q5:上司または職場の誰かが、自分をひとりの人間として気にかけてくれているようだ
Q6:職場の誰かが自分の成長を促してくれる
Q7:職場で自分の意見が尊重されているようだ
Q8:会社の使命や目的が、自分の仕事は重要だと感じさせてくれる
Q9:職場の同僚が真剣に質の高い仕事をしようとしている
Q10:職場に親友がいる
Q11:この6カ月のうちに、職場の誰かが自分の進歩について話してくれた
Q12:この1年のうちに、仕事について学び、成長する機会があった
この調査の結果「熱意あふれる社員」の数はアメリカの32%に対して、日本はわずか6%となっています。調査した139か国の中で132位であり、世界的にかなり低いというのがわかります。
逆に日本のマイナスな側面を持っている人「周囲に不満を撒き散らしている無気力な社員」の割合は24%、「やる気のない社員」は70%となっています。
「周囲に不満を撒き散らしている無気力な社員」は世界平均で18%なのです。日本はそれを5%も上回っていますし、熱意の溢れる社員の3倍近く企業に対して不満を持っている社員がいるということがわかります。
実際に数字を見てみましたが、一体なぜ日本の「従業員エンゲージメント率」は低いのでしょうか。
日本の企業では世界的にみて、少し古い社会の風潮があるのが原因の一つのようです。年功序列・学歴重視といった風潮が残っていて、非正規社員や高卒社員にとってはあまりにもチャンスがなさすぎる組織構造になっていることが多いです。
また、大企業に勤めていればいるほど感じることだと思いますが会社全体として自分が会社にどう貢献しているのかが今一つわからない、顧客の反応がどうなっているかが把握できていないという事態に陥ってしまっています。
その為、どう頑張ったとしても変わらないという意識からやる気がない社員が増えてしまっているのでしょう。
また、日本が高度経済成長期などと比べてしまうとあまりにも裕福になってしまったということも一つの原因でしょう。欧米諸国に対して追いつけ追い越せと国全体でまとまって見事国の経済は成長しました。そして、現在豊かになったが故にさらに上を目指そうというハングリー精神がなくなってしまったのでしょう。
会社の組織を改正し、風通しを良くして労働環境を整えることが大事でしょう。結局自分がどう貢献したとしても、あまり評価されなかったりしてしまっては従業員のモチベーションが低下してしまいます。
また、上司との関係性も非常に大事です。上司の接し方次第で部下の成長は変わってきます。ただ仕事を与えるだけではなく、どのように考えどのような人間であるのかを把握し、一緒に考えて上げることが従業員一人一人のエンゲージメントを上げることができるようになるでしょう。
エンゲージメント率を上げることで離職率が下がり、会社全体の士気も高まり、一致団結して会社を運用していくことが可能です。
先ほど記載したギャラップ社の「Q12」を参考にして、自分の会社どうであるかを今一度見直してみてはいかがでしょうか。