「働き方改革」って何? ポイントなる3つの柱と7つの項目について知ろう!

劣悪な環境での長時間労働による過労死問題など、現代の日本の労働スタイルは改善すべきことが数多く存在します。一昔前の根性論のような働き方は淘汰され、個々の事情やライフスタイルに合った労働環境が求められているのです。

そうした柔軟な働き方を実現するために行われたのが働き方改革であり、さまざまな関連法が制定されていっているのです。

特に働き方改革の根幹をなすポイントが、3つ存在します。

この記事では、それら3つのポイントを軸に働き方改革の内容について触れていきたいと思います。

働き方改革関連法のポイントは3つある!

2018年6月29日に成立した働き方改革法案ですが、 2019年4月1日をもって、改正法が適用開始となりました。その際に重要視されたのが、以下に挙げる3つです。

  1. 時間外労働の上限(残業時間)
  2. 規制年次有給休暇の時季指定(有給休暇)
  3. 同一労働同一賃金(賃金に関するもの)

以下に働き方関連法の7つの項目についてひとつひとつ見ていきます。その中でも、上記の3つが特別重要なポイントであるということを頭に入れたうえで、この記事を読み進めていってください。

最悪、この3点の項目だけチェックするのもOKです。

働き方改革関連法の詳しい内容は?

さて、先述したように働き方改革関連法には7つの項目がありますので、詳しい内容について確認していきましょう。

時間外労働の上限規制

よっぽどの緊急事態など特別な事情がない限り、時間外労働の上限である原則月45時間、年360時間を超えてはいけないと定められています。

特別の事情というのは、たとえ労使が合意する特別な条項であっても、以下のような上限規制が定められています。

  • 時間外労働が年720時間以内
  • 時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
  • 複数月の1ヶ月あたり80時間以内
  • 時間外労働が月45時間を超えることができるのは年6ヶ月が限度

今までは、労使の合意さえあれば実質労働時間は青天井であり、それは法で問われることはありませんでした。しかし、過労死や過労による自死・精神疾患が後を絶たない現状では、そうした方の穴をつくような行為も改善されなければならなかったのです。

年次有給休暇の時季指定

以下の条件を満たした労働者は、年10日年次有給休暇が付与されることになりました。

  • 半年間継続して雇われている
  • 全労働日の8割以上を出勤している

このうちの年5日間は使用者が労働者の希望を踏まえた上で時季を指定し、付与することが義務化・実施されます。これを「年次有給休暇の時季指定」といいます。

フレックスタイム制

フレックスタイム制とは、従業員が日々の始業・終業時刻を自身で決定して働くことができる制度のことです。

今後、働き方が変わっていくにつれてこのフレックスタイム制が拡充されていく見通しであり、こちらも改正対象となりました。

具体的には、労働時間の調整が可能な清算期間がこれまでは1ヶ月だったのに対して、改正後は3ヶ月となります。

これまでは、1か月の法定労働時間を超えた場合、企業は労働者に対して割増賃金を支払う必要がありました。しかし、改正後は1か月で30時間の時間外労働があったとき、翌月の労働時間を30時間短く調整することによりって、企業はこの割増賃金を支払う必要がなくなり所定労働時間働いていない月も欠勤扱いではなくなります。

かいつまんでまとめると、時間外労働をたくさんした翌月は、その分休んでも欠勤扱いにはならないということです。

高度プロフェッショナル制度

高度な専門知識を使う限定的な職務に就いており、一定の年収要件を満たす労働者のことを「高度専門職」と呼びます。

高度専門職は労働時間や休息、休日および深夜割り増し賃金に関する規定から対象外となり、別途規制の枠組みが創設されます。

この枠組みは、労使委員会の決議や労働者本人の同意を前提とし、年間104日以上の休日確保や健康管理時間の状況に応じた健康・福祉確保措置を講ずることになっています。

雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保

正社員と非正規社員とで合理的ではない待遇が行われることを防ぐ法案です。

同じ労働を行なっているにもかかわらず、正社員の方が給与をたくさんもらえるというのはおかしな話です。ここで非正社員の対象となるのは、パートタイム労働者や派遣の仕事をしている人です。

「同一労働同一賃金」。立場に関係なく成果によって報酬は決められるべきという極めて公平な業務形態を政府は推進しています。

労働時間等設定改善法の改正・勤務間インターバル制度

毎日の勤務終了時刻によって、翌日の出社までに一定のインターバル(休息時間)を確保することができる制度を導入しました。

たとえば、始業時刻が8時の企業でインターバルを11時間確保すると規定したなら、もし前日に23時まで残業した場合は、その人の始業時刻を8時ではなく10時とすることができます。

残業によって深夜帰宅、睡眠時間を削って即出勤ということは許されないということです。

産業医・産業保健機能の強化

事業主から産業医への情報提供や産業医などによる労働者の健康相談などが強化されます。

この改正によって、労働者の労働時間や業務状況などについて、事業主は産業医へ情報提供しなければなりません。つまり、労働者の環境は産業医へ伝えなければならないので、虚偽の報告をすることはできなくなったということです。

情報を受け取った産業医が行った事業主への勧告は、さらに事業場の労使や産業医で構成される衛生委員会に報告しなければなりません。さらに、事業者は労働者が産業医などに健康相談できる体制整備を行うこと、労働者が安心して作業を行なえるように健康相談や健康診断を受けられるようにすることが決められました。